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株主・投資家の皆様へ
~2024年通期における連結決算を終えて~
当連結会計年度におけるわが国経済は、社会経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境の改善がみられるなど、緩やかな回復基調が見られますが、他方で不安定な世界情勢や、円安を背景とした資源価格や原材料価格の高騰、さらには欧米諸国での政策金利の引き上げによる為替相場の変動、米国新政権の動向など、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
一方で、当社の主力事業であるデータセンターの分野では、生成AI(人工知能)の高度化に伴う急速な普及やデータを国内で管理する「データ主権」に対する意識の高まり、経済安全保障における日本の重要性の高まりなどを背景として、米クラウド大手の各社(Amazon、Microsoft、Google、ORACLE)が相次いで日本国内での大規模な投資を打ち出しております。また日本政府においても、石破首相が2025年1月24日の施政方針演説にて、情報通信ネットワークの整備やAI・半導体分野への50兆円を超える投資を引き出す環境整備のための法案提出を明言するなど、光ファイバー、5G、データセンター、海底ケーブルの整備といった施策を具体化する動きもさらに加速しております。令和6年(2024年)版の情報通信白書によると、2022年に2兆938億円であった国内のデータセンター市場の規模は、2027年には4兆1862億円と、およそ2倍に成長することが予測されており、データセンター市場、クラウド市場およびデータ・ソリューション市場は、今後も中長期的に拡大していくと見込んでおります。
このような環境の中、当社は2024年12月期通期(2024年1月1日~12月31日)の連結決算を終了しましたので、その概要を要約させて頂きたいと存じます。
2024年12月期における連結決算は、売上高13,423百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益668百万円(前年同期は84百万円の損失)、経常利益は営業利益の増加の他、投資事業組合運用益等の営業外収益が増加したことにより889百万円(前年同期は152百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として固定資産減損損失および投資有価証券評価損を計上したものの、経常利益の増加により404百万円(前年同期比305.3%増)となりました。
連結業績につきましては、まず、ブロードバンドタワー本体が中心として展開するコンピュータプラットフォーム事業において、データセンターおよびクラウド・ソリューションの売り上げが増加、増益となりました。データセンターでは、今期計画のネットワークサービスなどの販売が伸長、売り上げが増加しました。さらに、サービス価格の見直しや運用コストの削減など、事業全体での収支構造の改善とも相まって、増益となっております。クラウド・ソリューションでは、自社のc9 Flexサービス、SaaS(Software as a Service)サービスなどの売り上げが堅調に増加いたしました。また、「Dell PowerScale / Isilon」とその関連製品であるカナダ「Superna」(スパーナ)社製ランサムウェア対策ソリューション群、ペタバイト(PB=1,024テラバイト)規模のストレージを構築可能な「Scality RING」などを提供するデータ・ソリューションでは、新規で日本を代表する大手自動車企業や大手証券会社、大手法律事務所向けなどの案件を獲得いたしました。一方で、大型案件の反動減によって売り上げが前年同期比で減少いたしましたが、利益については、保守サービス等の売り上げ増加により、増益となっております。
次に、連結子会社のジャパンケーブルキャスト株式会社(JCC)を中心に展開するメディアソリューション事業の各サービスでは、「JC-HITS」を中心としたコンテンツプラットフォームのサービスにおけるケーブルテレビ局の多チャンネル放送サービスのユーザー数の減少により、売り上げが減少しております。他方で「JC-data」や「地域・防災DXサービス」などのインフォメーションプラットフォームサービスにおいては、地方自治体による補助金の利用が活発化していることを背景に、新規受注が増加、売り上げが増加しております。
当社は基幹である「新大手町サイト」にて、主要なIX (インターネット・エクスチェンジ:インターネット接続事業者、クラウド事業者、大量コンテンツ提供事業者のトラフィック交流拠点)やAmazon (AWS)・Microsoft (Azure)などのメガクラウド事業者との閉域網接続(直接接続)を実現するなど、コネクティビティ重視の都市型データセンター事業を、東京・大阪を拠点に展開しております。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)やAIの普及によるGPU(Graphics Processing Unit)等の機器の消費電力の増加を見据え、2026年稼働予定の「石狩再エネデータセンター」をはじめとする郊外型データセンター事業についても積極的に展開しております。
今後も当社は、「インターネットに近い」・「ネットワークに強い」データセンターを有する事業者としての優位性を活かし、SPC(Special Purpose Company: 特別目的会社)を用いたストラクチャーやパートナー企業との協業モデルの活用など、アセットライトな事業モデルを志向、都市型データセンターを核に、生成AIニーズの拡大による電力需要増加に対応した郊外型データセンターなどのデータセンター開発プロジェクトに積極展開してまいります。
なお、2025年12月期の業績につきましては、コンピュータプラットフォーム事業は、クラウド・ソリューションとデータ・ソリューションでの増収を見込むものの、主にデータセンターにおける大型案件の反動減により減収減益、メディアソリューション事業は、コンテンツプラットフォームの売り上げ減少による減収減益を見込んでおります。また、調整額に含まれる連結子会社GiTV株式会社におけるベンチャーキャピタルファンド事業の赤字幅拡大が見込まれることから、下記の予想を行っております。
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今後とも、尚一層のご支援・ご協力をお願い申し上げます。
株式会社ブロードバンドタワー