株式会社ウインローダー

  • 業種

    物流 / リユース・リサイクル

  • 課題・要望

    オンプレミス環境からクラウド環境への移行および運用負荷の軽減

  • 製品・サービス

    c9 Flexサービス Vシリーズ / Amazon Web Services / MSP監視運用サービス

株式会社ウインローダー 代表取締役 社長
高嶋 民仁 氏

サンシステム株式会社 代表取締役 社長
林 健司 氏
  • クラウド
  • 物流 / リユース・リサイクル
  • クラウド基盤への移行
高嶋 民仁 氏
「今回構築したマルチクラウド環境はDX化の第一歩だと考えています。今後もブロードバンドタワーとサンシステムの力を借りながら、DXをさらに推し進めていきたいですね」。

林 健司 氏
「ブロードバンドタワーは、きちんとしたプロセスに則り、丁寧にプロジェクトを進めてくれたので、非常に安心することができました」

1950年1月に東京・荻窪で創業した株式会社ウインローダーは、"三多摩地域の未来を運ぶ" を事業ミッションに掲げる物流事業者だ。三多摩地域とは、東京都のうち、東京23区・島しょ部を除いた市町村部を指し、武蔵野市や調布市、府中市、八王子市などが含まれる。同社はこの三多摩地域におけるB to B領域の物流で事業を展開している。また、2001年からはリユース・リサイクルの分野にもその事業領域を拡大、株式会社エコランド、株式会社リサイクルリンクという2つの会社を設立している。三多摩地域の産業活動を支えると共にさらなる経済発展への貢献を目指している。
同社は2020年2月、システム運用の負荷軽減とコスト効率の適正化を目指してオンプレミス環境にある基幹システムのクラウド移行を計画、ブロードバンドタワーの提供するクラウドサービス『c9 Flexサービス Vシリーズ』とAmazon Web Services(以下AWS)のマルチクラウド活用を選択した。

c9 FlexサービスとAWSを採用したクラウド移行を実現
MSP監視運用サービスも導入して運用負荷軽減とコスト最適化も達成

SEの退職と物理サーバの故障を機にオンプレミス環境のクラウド移行を計画

株式会社ウインローダー
代表取締役 社長 高嶋 民仁 氏
都市銀行の勤務を経て、27歳の時に祖父が創業した同社に入社した代表取締役 社長の高嶋 民仁 氏は2009年、35歳の時に現職に就任したが、入社当時には現場業務にも従事した。その経験の中から生まれた会社の1つが、B to C領域でリユース・リサイクル事業を展開するエコランドだ。その背景について、高嶋氏は次のように振り返る。

「お客様に新しい荷物をお届けする際には、それまで使われていた多くの品物が産業廃棄物として捨てられることになります。当時はまだゴミを捨てるのにお金がかかる時代ではなく、各種リサイクル法も施行されていませんでした。まだまだ使えそうなのにもったいない、物流の力を使って何とかリユース、リサイクルできないかと考えたのです。そうした思いから設立したのがエコランドです」(高嶋氏)。

"モノを大切にする社会の実現"をビジョンに掲げるエコランドでは、まず顧客が要らなくなったものを買い取る、もしくはリユースを前提に回収する。次に品物を仕分け・選定し、オークションサイトや品物に応じた専門業者に販売あるいは海外向けに輸出する。こうしたビジネスモデルを構築することで、エコランドはリユースによる循環型社会の実現を目指している。

ウインローダーでは、このエコランドのシステム開発と運用も管轄しているが、2016年 、ブロードバンドタワーの提供するクラウドサービス『c9 Flexサービス Vシリーズ』を導入して、それまでオンプレミス環境にあったエコランドのサービス提供用システムを全てクラウド環境へと移行した。ネットワークの設計とセキュリティ上の課題を解決するためだ。

しかしその後、システム管理を担当していたSEが退職、さらにまだオンプレミス環境にあったウインローダーの基幹システムを担う物理サーバが故障するという事態に見舞われたことで、運用負荷の軽減とコストの最適化を目指して、クラウド移行の第二弾を計画した。

ウインローダーの基幹システムをAWSに、エコランドの新システムをc9 Flexサービスに移行

サンシステム株式会社
代表取締役 社長 林 健司 氏
第二弾のクラウド移行について、ウインローダーのシステム企画から開発までを支援するサンシステム株式会社 代表取締役 社長の林 健司 氏は、次のように説明する。

「今回の移行では、大きく2つのターゲットがありました。1つ目が、オンプレミス環境にあるウインローダーの基幹システム、もう1つが、新たに開発したエコランドのシステムです。そして各々の特性に応じて、基盤となるクラウドサービスを使い分けることにしました。具体的には、ウインローダーの基幹システムをAWSに、エコランドの新システムをc9 Flexサービスに、という切り分けです」(林氏)。

B to Bのシステムであるウインローダーの基幹システムでは、トランザクションデータの量をある程度、見込むことができる。そこで従量課金制のAmazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)を採用することで、利用コストの抑制と適正化を図ることができると考えた。様々なパブリッククラウドサービスの中からAWSを選んだのは、豊富な導入実績があり、数多くの有用な機能を提供しているからだ。

そして新たに開発したエコランドのシステム基盤については、第一弾のクラウド移行時と同じくc9 Flexサービスを選択した。

「エコランドのサービスはB to Cなので、多くのお客様や社内ユーザがアクセスします。また、お客様のニーズや環境変化にも柔軟に対応していく必要があります。そこで、基幹システムについては、高い可用性と信頼性を確保できる『c9 Flexサービス Vシリーズ 』に集約することにしました」(林氏)。

『c9 Flexサービス Vシリーズ』は、仮想化技術を利用した月額固定のクラウド型ホスティングサービスで、ユーザ企業に高品質なシステムインフラを低価格で提供するものだ。必要に応じてWeb経由で短時間にリソースを増減することができ、ホストOSで実行中の仮想マシンを停止させずに別のホストに移動させるライブマイグレーションなど、高い可用性も確保している。

マルチクラウド化により機会損失の低減や運用コストの経費化を実現

こうしてウインローダーとエコランドは、2つのクラウドサービスと複数拠点をVPN接続で繋ぐマルチクラウド構成のシステム環境を完成させた。さらにブロードバンドタワーの提供するMSP監視運用サービスも採用し、システム運用をアウトソースすることでコストの最適化も実現した。

「移行を考える上で重要となるのは、移行期間とコストを極力抑え、さらに導入後の運用も社内リソースを使うことなく回し続けられることです。前者の課題についてはc9 FlexサービスとAWSで解決し、後者についてはブロードバンドタワーのMSP監視運用サービスを採用することで解決することができました。これも第一弾のクラウド移行時から続くブロードバンドタワーへの信頼感の賜物です」(高嶋氏)。

今回構築したマルチクラウド環境は2021年1月から稼働を開始したが、新たな環境によって得られる具体的な効果として、高嶋氏はまずビジネスの視点から機会損失の低減を挙げる。

「ウインローダーの基幹システムについては、クラウド移行によりシステムの可用性や耐久性が向上し、さらに24時間365日体制の運用監視をブロードバンドタワーに委託したことで、システム障害発生のリスクを劇的に抑えることができました。まさに機会損失の低減に繋がるものです。またエコランドについても、柔軟なシステム基盤を獲得したことで、今後新たなサービス展開を考えていく上でのコスト試算やシステム拡張の計画を立てやすくなりました。環境変化への迅速な対応という観点からも大きなメリットだと言えます」(高嶋氏)。

今後の運用面についても、ブロードバンドタワーのMSP監視運用サービスを採用したことで必要経費のみに抑えることが可能となり、新たなSEを採用して固定費を抱える必要も無くなった。

「さらに言えば、1~2名のSEだけに全社のシステムを任せることは、我々の事業継続がその人たちに委ねられてしまうことに他ならず、以前と全く同じ事態が起きる可能性があるということです。ノウハウの属人化や退職のリスクを払拭できたという観点からも、今回のプロジェクトには非常に大きな意義があると考えています」(高嶋氏)。

今後も2社の力を借りて"中小企業としてのDX" を推進していく

今回のクラウド移行において、サンシステムは移行に関する要件定義と設計、アプリケーションの設定・テストなどを担当したが、今後エコランドに対する提案の1つとして、商用データベースと同等のパフォーマンスと可用性を実現するクラウドベースのリレーショナルデータベースであるAmazon Auroraを挙げる。

「エコランドはB to Cのサービスなので、お客様のデータがどんどん蓄積されていき、また社外から利用する機会も多いものです。そこでパフォーマンスの向上と同時にセキュリティも高めることが重要になります。その際にAmazon Auroraは非常に有用なソリューションになると考えています」(林氏)。

今回ウインローダーは、主にアプリケーションに関わる部分をサンシステムに、インフラに関わる部分をブロードバンドタワーに任せることでマルチクラウド化を成功させた。

まさに現在多くの企業が取り組んでいるDX(デジタルトランスフォーメーション)を具現化した1つの形だと言えるが、高嶋氏は中小企業におけるDXの進め方として"餅は餅屋、自分たちは本業に注力して、弱いところは専門家に任せる"という姿勢を明示する。

「実は以前、社内に最大12名のシステム担当者を置き、多額のシステム投資をしていた時期もありました。しかしIT投資はすぐには回収できません。我々のような体力のない中小企業にとっては、非常に大きな負担となるのです。こうした経験を通じて実感したのは、"餅は餅屋"だということです。ITについては専門家の知恵をしっかり借りて進めるのが一番速いし、一番安全だし、コスト面もトータルで考えれば低減することが可能です。だからといって、我々がITリテラシーを上げなくていいということにはなりません。こんなITを使えば、こんなことができるというアンテナを常に張り巡らせつつ、専門家の知恵を借りてプロジェクトを進める。そうした姿勢を基本として、今後もさらにサンシステムやブロードバンドタワーとのパートナーシップを強化していきたいと考えています」(高嶋氏)。
企業名
株式会社ウインローダー
https://www.winroader.co.jp/
設立
1950年1月
所在地
東京都杉並区上荻
資本金
5000万円
事業内容
荷物の集配・配送、貸切チャーター、倉庫保管・発送