さくらインターネット株式会社

  • 業種

    クラウド、データセンター

  • 課題・要望

    データセンターの移設

  • 製品・サービス

    データセンター

左から、さくらインターネット株式会社 クラウド事業本部プラットフォーム部基盤グループ ネットワークユニット マネージャーの高峯誠氏、さくらインターネット株式会社 クラウド事業本部プラットフォーム部基盤グループ ネットワークユニット 神田航平氏、さくらインターネット株式会社 クラウド事業本部プラットフォーム部基盤グループ ネットワークユニット 平田大祐氏、さくらインターネット株式会社 クラウド事業本部 プラットフォーム部 部長の東常行氏
  • データセンター
  • クラウド、データセンター
  • データセンターの移設
さくらインターネットがさまざまなインターネットサービスを提供する上で重要なボーダールーター。それを稼働させていたデータセンターの老朽化を機に、ブロードバンドタワーの都市型データセンター「新大手町サイト」に移設した。大手町という立地、異キャリア異ルートなどの利点に加え、ブロードバンドタワーの柔軟なサービスが移設を成功に導いた。
ポイント
  • 〇 ボーダールーターに向いた大手町というロケーションである新大手町サイトに移設
  • 〇 ラックサイズや電源容量が増え、移設時に最新のルーター機器に入れ替え
  • 〇 異キャリア異ルートで万が一の際も接続を維持
  • 〇 ルートを指定した上での先行配線も。将来の機器増設を迅速に
  • 〇 快適な休憩室でメンテナンス終了後のデスクワークも可能に。オフィス並みの快適さ

インターネットサービスのかなめ「ボーダールーター」を、
異キャリア異ルートの回線を提供する都市型データセンター「新大手町サイト」に移設
先行配線、セキュアな入館システム、快適な休憩室などのきめ細かいサービスで利用形態が一変

インターネットサービスを提供するために不可欠なボーダールーター

自社運営のデータセンターを活用したクラウド、レンタルサーバー、VPSなど、多種多様なサービスを提供しているさくらインターネット。生成AI向けGPUクラウドサービスの提供に向けて石狩データセンターでの開発実装を進めるなど、先進的な取り組みにも積極的に挑戦している。

クラウド事業本部 プラットフォーム部 基盤グループ ネットワークユニットの平田大祐氏は「自前で建設したデータセンターもあれば、他社の建物をお借りして運用するケースもあります。用途や目的に合わせて使い分けることで、お客さまのさまざまな要望に応えられる多様なサービスを提供しています」と説明する。

さまざまなサービスを提供する上でキーになるのが「ボーダールーター」である。インターネットはいくつものネットワークがつながって構成されるが、「他のネットワークとの境界」の役割を果たすものだ。

「ボーダールーターは当社のネットワークの一番外側に位置し、そこにたくさんのネットワークや機器がつながる形でサービスが稼働しています。万が一この機器が停止した場合、外部のネットワークとの接続が切れてサービスが提供できなくなるため、非常に重要な役割を担っているといえます」(平田氏)

さくらインターネットでは、長年にわたり東京、大手町にある他社データセンターでボーダールーターを利用してきた。クラウド事業本部 ネットワークユニットの神田航平氏は「大手町にはたくさんの事業者が集まっており、『他のネットワークとの接続性に優れている』『主要なIXへの接続が容易』という利点があります」と説明する。

老朽化により迫られたデータセンターの移設

ところが2019年頃、そのデータセンターの老朽化が問題となり移設を迫られた。

「ボーダールーターは他のネットワークやサービスとの接続性、安全性という観点から、立地が重要になります。また最新機器は大型化、高性能化が進んでいるので、奥行きのあるラックを設置するだけのスペース、大きな電源なども必要です」(平田氏)

これらの条件に合致する候補として挙げられたのが、ブロードバンドタワー(BBTower)が2018年に開設した「新大手町サイト」だった。大手町という立地の良さに加え、4つのキャリアの回線を異なるルートで引くことも可能だった。

「どれだけ対策していても断線のリスクをゼロにできません。たとえ異キャリアであってもルートが同じでは、災害などで隣接する線が一緒に切れてしまう可能性があります。その点、キャリアごとに異なるルートを取れる新大手町サイトは、すべてが同時に断線するリスクが低くなります」(平田氏)

将来性を見据えたゆとりのある設計、スピーディな入館システムにメリット

sakura02.jpg さくらインターネット株式会社
クラウド事業本部プラットフォーム部基盤グループ ネットワークユニット
平田 大祐 氏
さっそく両氏は新大手町サイトに足を運び見学し、「とにかく新しい。明るくてきれい」という第一印象を持った。

「長いライフサイクルを考慮すれば、データセンターは新しいだけで大きな価値があります。建物の古いところと新たに契約すれば設備の老朽化に早く直面しますが、新しければ長く利用できます。また、新大手町サイトの建物自体の制震構造もしっかりしており、ラックがあるフロアも高層階にあり、津波や高潮に対するリスクが低い点も安心でした」(平田氏)

ラックのサイズや電源容量にも余裕があり、最新機器を導入する上でも安心だった。ラックの大きさが不足していると、コネクタの大きなケーブルをつないだときに扉が閉めにくくなったり、電源タップの役割を担うPDUの置き場所に困るといった問題が生じかねないが、新大手町サイトはラックの奥行きが1100mmと余裕があった。標準電源も1ラックあたり実効6kVAとなっている。

またセキュリティが重視されるデータセンターは、入館カードの発行や荷物検査などさまざまな手続きに時間がかかることが多いが、新大手町サイトは生体認証ですぐに入館でき、フロアまで直結する専用エレベーターも用意されている。

「障害が発生して急いでいるときには、以前は入館手続きに30分以上かかりストレスを感じていましたが、新大手町サイトならラックの前まで数分でたどり着けます。しかしセキュリティがおろそかになっているわけではなく、最新の生体認証とともに、24時間365日体制での有人監視が実施されているので、安心して利用できます」(神田氏)

ルートを指定しての先行配線。
冗長性の確保と同時に、ビジネスの迅速化も実現

sakura03.jpg さくらインターネット株式会社
クラウド事業本部プラットフォーム部基盤グループ ネットワークユニット
神田 航平 氏
さくらインターネットは2021年に新大手町サイトの契約を結び、2022年から本格稼働を開始した。旧データセンターと比べてラックあたりの電源が倍増したこともあり、機器は最新のものに入れ替えたという。

また将来の拡張に備えて、機器設置の際にBBTowerは将来の機器増設に備えて先行配線も行った。後からケーブルを引くと、きれいに配線できずに他の機器の上を覆ってしまうことも珍しくない。そうなると「どこをつないでいる線かわからなくなる」「線が機器の排熱の邪魔をする」といった弊害が生じかねない。そこで事前にケーブルを引いて、それらの問題を解消しておいた。さらに、新たな機器を設置する際、通常なら申請から2週間程度を要するところが、配線工事が不要なのでわずか1日で開通できるようになった。

先行配線の際にはルートの指定も行っている。新大手町サイトでは、2つのMDF(主要配線盤)で分配し、それぞれ2つのIDF(中間配線盤)で分配しているが、さくらインターネットはケーブルを通すルートを指定したのである。

「他では簡単な指定しかできなかったのですが、新大手町サイトではどのMDF、IDFを通すというルートを具体的に指定して先行配線できました。いろいろなデータセンターを利用してきましたが、このような細かな指定ができたのはBBTowerが初めてでした」(平田氏)

またラックあたりのリアルタイムの電力消費量も専用ポータルサイトから確認できる。

「月に1回、定期的に消費電力を検査しているのですが、メールや電話などで確認依頼をする必要がなく、気楽に確認できます」(神田氏)

快適な休憩室や会議室を用意。
オフィス並みの快適さ

新大手町サイトを利用して1年以上たつ。振り返ると「BBTowerの親身さ」を感じるという。

「データセンターは厳格な運用管理が求められることの多いのですが、BBTowerは気軽に相談しやすく柔軟に対応してもらえるユーザーフレンドリーな会社だというイメージを持っています」(平田氏)

将来、ネットワーク機器を収容する他データセンターの継続課題が挙がった際は、平田氏は「BBTower社のデータセンターは移設先候補」と語る。

「BBTowerからは、『困難なチャレンジであっても果敢に取り組もう』という企業風土を感じています。しかしそれは私たちも同じこと。今後も企業文化が近いもの同士、技術を切磋琢磨しながらチャレンジしていければと考えています」(平田氏)
企業名
さくらインターネット株式会社
https://www.sakura.ad.jp
設立
1999年8月
所在地
大阪府大阪市北区梅田1-12-12
東京建物梅田ビル11階
事業内容
クラウドコンピューティングサービスなどの提供 データセンター運営