株式会社EmbodyMe

  • 業種

    AIソリューション開発

  • 課題・要望

    AI研究向けディープラーニングサーバ導入の設置拠点

  • 製品・サービス

    データセンター

株式会社EmbodyMe
CEO / Engineer 吉田 一星 氏
  • データセンター
  • AIソリューション開発
  • 設置拠点
「低コストで交通のアクセスも便利なブロードバントタワーの第5サイトは、我々のようなベンチャー企業にとって、非常に利便性の高いデータセンターだと考えています」

AIを活用して人間が目で認識できるものは全て作り出してしまおうという取り組みを行っている株式会社EmbodyMe。同社の技術力を象徴するサービスが、多くのメディアでも取り上げられたスマホアプリ「Xpression」だ。ディープラーニングを用いた映像生成技術をベースに、有名人や他人の顔を使ってフェイク映像を簡単に作成することができる画期的なアプリである。同社は2019年9月、研究開発のスピードを加速するためにAI研究向けディープラーニングサーバの「NVIDIA DGX-1」を導入した。その設置場所として選択したのが、同社のコストとロケーションの要件を満たしたブロードバンドタワーのデータセンター「第5サイト」(東京都江東区)だ。

AI研究向けディープラーニングサーバの設置拠点として
低コストで交通アクセスに優れたブロードバントタワーの第5サイトを活用

研究開発のスピードアップを目指し、
AI研究向けディープラーニングサーバを導入

株式会社EmbodyMe
CEO / Engineer 吉田 一星 氏
現在EmbodyMeが取り組むテクノロジーの領域は、既存の分野にあてはめるならコンピュータグラフィックス(CG)に相当する。しかし同社がAIを使って実現しようとしている世界は、従来のCGとは全く異なる次元のものだ。この点について、CEO / Engineerの吉田 一星 氏は、次のように説明する。

「既にCG技術を使って非常にリアルな映画も作られていますが、それを実現するためには膨大なマンパワーと時間、そしてコストが必要です。これに対して我々がやろうとしているのは、今までのCGとは全く異なる方法論で映像を作り出してしまうこと。そのベースにあるのがAIであり、ディープラーニングです」。

同社が目指すAIベースのCGの世界では、例えば人の顔と声の情報をディープラーニングで学習させ、その学習モデルをベースに、その人物のさまざまな動画を作成することが可能になる。今までのように多大な手間とコストをかけて映像を作り上げる必要は全くなくなるのだ。

「たとえばTVのニュース番組なら、原稿さえあれば、あたかも本人がその場でニュースを話しているかように、CGのアナウンサーがその日の出来事を伝えるという世界が実現できますし、Web広告の世界なら、メディアの特性やターゲットに合わせて動画を作り分ける作業が劇的に削減されます。一回撮影してしまえば、それをベースにいろいろなパターンの映像を作成することができるからです。今後AIベースのCGがさらに進化すれば、誰でも簡単に、そうしたレベルのCGを作ることが可能となるでしょう」。

AIベースのCGを適用できる領域が広がることで、さまざまな業界のビジネス活動は劇的に変わっていく。しかし一方で吉田氏は、研究のレベルはまだまだ初期段階だとも語る。

「研究開発のスピードを加速させていくためには、よりハイスペックなコンピューティングパワーが必要です。そこで我々はディープラーニングに特化した世界初のオールインワンAIスーパーコンピュータであるNVIDIA DGX-1(以下、DGX-1)を導入することにしました」。
デジタル映像制作のリーディング・カンパニーである白組では、日々数多くの映像作品を制作している。しかし従来は映像制作用ストレージが複数の機器に分散しており、性能面や運用管理面で課題を抱えていた。また近年では、ランサムウェアをはじめとするサイバー攻撃への備えも急務となっていることから、同社ではより高性能でセキュアな新ファイルサーバーの導入に着手した。

ディープラーニングサーバの設置場所として、
ブロードバントタワーのデータセンターを選択

これまで同社は、研究開発用のコンピューティングパワーとしてAmazon Web Services (AWS) やGoogle Cloud Platform (GCP) などのパブリッククラウドサービスや、オフィス内に設置した物理サーバなどを利用していた。

そんな中、同社は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する研究開発型ベンチャーの創出・育成を目的とした研究開発型ベンチャー支援事業に応募し、2019年6月にシード期にある研究開発型ベンチャー(STS:Seed-stage Technology-based Startups)としての認定を受けた。

「これによって助成金を得ることできました。コンピューティングパワーは、あればあるだけ研究開発が進むという性質のものですが、我々のようなベンチャーは、やみくもにお金を使うことはできません。そこに助成金が下りたことで、DGX-1を導入することを決めたのです」。

ディープラーニングの学習においてはGPU(Graphics Processing Unit)の性能が非常に大きな鍵を握っており、「現状ではほぼ全てのディープラーニングのフレームワークがNVIDIAオンリーで動く」(吉田氏)とのことで、EmbodyMeはディープラーニングに特化した世界初のオールインワンAIスーパーコンピュータであるDGX-1を採用した。 製品の導入を支援したのは、NVIDIAの日本初のエリートパートナーであり、AIやHPC(High Performance Computing)分野に強みを持つシステムインテグレーターの株式会社GDEPアドバンスだ。

またDGX-1の導入に際しては、併せて新たな筐体を設置するスペースを確保する必要もあった。GDEPアドバンスからは、DGX-1の設置場所の候補として複数のデータセンターの紹介を受けたが、その中から同社が選択したのが、ブロードバントタワーが提供する第5サイト (東京都江東区) だった。

「やはり我々にとって重要視すべきは、コストでした。あわせてDGX-1は、機器を構成している部品が特殊なもので汎用的なサーバの部品で代替できるものではありませんので、万一部品が故障して交換が必要になった際などのトラブル対応やメンテナンスなどを考えると、NVIDIAの保守ベンダーと我々のオフィスの双方からのアクセスがいいロケーションにあることも重要なポイントでした。こうした要件を満たしてくれたのが、ブロードバントタワーが東京都江東区に保有する第5サイトでした」。

そして2019年9月下旬、DGX-1はブロードバントタワーの第5サイトに搬入され、その日のうちに全ての設定が施された。EmbodyMeが採用したのは、42Uまで搭載できる自社専用の19インチラック1台で、現在1台のDGX-1(2U)に加えて、管理用のタッチパネルや200V電源用の機材、インターネット接続用のコネクタなど合計で5~6U分が利用されている。

今後のマシン増設もブロードバンドタワーのデータセンターで吸収可能に

吉田氏は、今回DGX-1を導入するにあたって「GDEPアドバンスそしてブロードバンドタワーから、非常にきめ細かくサポートをしてもらった」と強調する。

「やはりGDX-1のような特別なマシンを導入するのは、汎用サーバを導入するのとは訳が違います。GDEPアドバンスにはNVIDIA製品の専門ベンダとして、GDX-1の特徴や利用にあたって必要となるものをアドバイスしてもらいました。またブロードバンドタワーには、設置場所としての19インチラックに加えて、GDX-1に必要な200V電源やバックボーンとしてのインターネット回線などを手配してもらいました。設置・設定とも全く問題がなく、まさにAIとHPCのスペシャリスト企業とiDCのパイオニア企業の、両社の豊富な知見があってこそのサポートだったと思います」。

DGX-1を導入したことで、EmbodyMeでは、ディープラーニングにおける学習のスピードが圧倒的に速くなったという。

「これは取りも直さず、我々の研究開発のスピードが劇的にアップしたことを意味します。我々が目指すAIベースのCGの世界を、より近い未来に引き寄せることができる環境を実現できたと考えています」。

また同社は、DGX-1をブロードバントタワーのデータセンターに設置したことで、マシンの運用保守フェーズにおける不安を払拭し、さらに運用コストを最小限に抑えることにも成功した。

「今回導入したラックにはまだ余裕があります。この先、2台めのDGX-1、あるいはその時点で最新のAIマシンを導入することができるぐらいにビジネスが成長した際にも、マシンの設置場所を気にする心配は一切ありませんし、既存のGDX-1と簡単に連携させることも可能です。その意味でブロードバンドタワーのデータセンターは、まさに我々のビジネスを縁の下から力強く支えてくれている頼もしい設備だと考えています」。

ブロードバンドタワーのデータセンターは、これからもEmbodyMeの技術開発とさらなる発展を支え続けていく。
企業名
株式会社EmbodyMe
https://embodyme.com/ja/
設立
2016年6月
所在地
東京都新宿区高田馬場
事業内容

AIソリューション開発