河野 俊丈

東京大学大学院

数理科学研究科長

皆さんこんばんは。ただいまご紹介いただきました、東京大学数理科学研究科長をしております河野と申します。今日はブロードバンドタワー20周年、藤原様、本当におめでとうございます。この中で数学者という方はたぶん私しかいらっしゃらないと思うんですけど、たぶんそうですよね。このような華やかな場に呼んでいただくことめったにありませんで、非常に光栄なことだと思っております。さっきから聞いてる金額とかも、われわれが考えるものとは桁違いでして、普段の数学者の生活とは全然違うなと思っております。実は藤原さんは、東京大学数理科学研究科の客員教授に就任していただいており、平素から大変お世話になっております。この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。藤原さんは実は数理科学の非常に強力なサポーターでありまして、非常に早い時期から、デジタル社会における数理科学の重要性ということを説いておられます。2012年には藤原洋数理科学賞を創設されました。これは数学の新しい理論を通して、社会に貢献した研究者を顕彰する賞であります。数学界のコミュニティーでは数学者の顕彰っていうのはいろいろあるんですけれども、社会への貢献という視点からの賞というのはほんとに初めてでありまして、多くの研究者が藤原さんに勇気付けられていると思います。日本の大学では、数理科学の研究のポテンシャルっていうのは非常に高いとは思っているんですけれども、必ずしもそれが産業界と結び付いていないという現状があります。東京大学でも知識集約型社会における大学の役割の拡張ということをスローガンにして、産業界と大学、これからは共創して新しい価値をつくり出すという、そういう取り組みを最近幾つも行っております。数理科学研究科が創設されたのが1992年なんですけど、2012年からはリーディング大学院プログラム、それから昨年度からは卓越大学院プログラムっていうのを実施しておりまして、産業界における課題に対して数学の専門性を生かしてわれわれが取り組んでいくという、そういう試みを行っております。これは藤原さんが言ってらっしゃる、数理科学による一つの、産業界を含めた大学をハブとするオープンイノベーションというものの一つの形ではないかと思っております。今後、藤原さんが述べられているような、このような数理科学とそれから産業界の連携、それによる新しい価値創造というのが、今後ますます進展することを願って私のごあいさつとさせていただきます。藤原さん、今日はどうもおめでとうございます。ありがとうございました。

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