課題・要望 | 業種 | 製品・サービス | ||
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ビジネスの成長に伴う データ容量の増大と耐障害性 |
メディア・ エンタテイメント |
ストレージ |
音楽に関する事業を多面的に展開する株式会社スペースシャワーネットワークでは、音楽専門チャンネル「スペースシャワーTV」の運営に加えて、デジタルコンテンツの制作や流通に関する事業、またCD/DVD パッケージの製造受託も手がけている。これらの業務では大量の音楽/動画ファイルを扱うため、大容量で高信頼なファイルサーバー基盤が不可欠である。そこで同社では、今後のビジネスを支える新たなストレージ製品として、ブロードバンドタワーが提供するEMC社製スケールアウトNAS「EMCアイシロン」の導入に着手した。
CSデジタル/ケーブルTVなどの放送事業者に対し、「スペースシャワーTV」「100%ヒッツ!スペースシャワーTVプラス」などの番組を提供するスペースシャワーネットワーク。音楽分野における老舗番組供給会社として知られる同社だが、現在ではさらに幅広い領域へと事業を拡大中だ。
コーポレート本部 総務部 部長 市川 重信氏は「現在ではライブ事業やWeb/モバイル事業、自社所属アーティストの発掘・育成・マネジメント、音楽レーベル運営、原盤の企画・制作、書籍・雑誌出版と、多岐にわたる事業を行っています。これらの機能を組み合わせ、音楽を切り口とした幅広いビジネスが展開できるのが当社グループの強み」と説明する。
さらに同社では、CD/DVDなどのパッケージ関連事業やデジタルコンテンツ流通事業なども手がけている。ここでは、CD/DVD商品の製造受託や、国内音楽配信会社へのデジタルコンテンツ流通などの業務を行うため、大量の音楽/動画データを保存できる大容量ストレージ基盤が欠かせない。
「ところがこれまで利用してきたファイルサーバーは障害が多く、業務に支障を来たすような場面もありました。また、ビジネスの成長に伴って、データ容量も増加の一途を辿っていましたので、早急な改善が求められていました」と市川氏は続ける。
今回見直しの対象となったファイルサーバーの具体的な用途としては、取引先の音楽レーベルや映像制作会社から預かった音楽/動画データの保存などが挙げられる。コーポレート本部 総務部 システム技術課 小宮 良之氏は「たとえば、CDのマスター音源やDVD用ライブ映像などをパッケージ製造工程に送るまでの一時保管に使ったり、オリジナルの楽曲データを音楽配信サービス用にエンコードして納品するのに使ったりといった具合ですね。このため、ファイルサーバー内にずっと保存されたままのデータはさほど多くないのですが、突然数百GB単位で容量が必要になるようなケースは珍しくありません」と説明する。
従来は通常のWindowsサーバーと内蔵ディスクを利用してファイルサーバー環境を構築していたが、容量が2TB弱程度しか確保されていなかった上に、電源ユニットなどのハードウェアに起因するトラブルも多発していた。
「不要になったファイルは早急に消去してもらうなどして、何とかやり繰りを続けてきたものの、こうした運用にもやはり限界があります。また、重要な業務基盤であるファイルサーバーが、しばしば障害を起こすような状況も望ましくありません」と市川氏は語る。
定例のシステム更新は年度ごとに予算を確保して行うが、今回は例外措置として急遽リプレースを決定。その結果、新ファイルサーバーとして採用されたのが、EMCのスケールアウトNAS「EMCアイシロン」である。
小宮氏はアイシロンを選んだポイントを「まず一点目は拡張が容易であることです。以前のWindowsファイルサーバーの時代には、容量が足りなくなってきた際の対応が面倒だった上に、システム改修に掛かるコストも高額でした。その点、アイシロンなら、容量が不足した際にもスケーラブルに、しかも容易にシステムを拡張していけます。また、導入コストがリーズナブルだった点も、採用の大きな決め手になりました」と説明する。
もう一点は信頼性・可用性の高さだ。市川氏は「これまで故障で悩まされることが多かっただけに、今回はできるだけ耐障害性の高い製品を選びたいと考えていました。その点、アイシロンは、ノードベースでの冗長性が確保されており、最大4ノードの同時障害にも対応できる。これは非常に大きな魅力でしたね。製品選定にあたっては、ヘッド/シェルフ分離型の一般的なNAS製品も一応検討しましたが、信頼性・可用性の高さでアイシロンに軍配が上がりました」と語る。
アイシロンには高IOPSが要求される用途向けの「Sシリーズ」、容量・性能のバランスに優れた「Xシリーズ」、ニアラインストレージの「NLシリーズ」の3モデルがラインナップされているが、今回のプロジェクトではXシリーズの「Isilon® X200」を3台導入。実効容量として20TB強を確保している。
「アイシロンはストレージ空間全体を巨大な単一ボリュームとして扱えますので、運用管理はかなり楽になりましたね。以前のWindowsファイルサーバーの時代には、一番大きい物理パーティションの容量が満杯になってしまうと、一度データを別パーティションに待避させてからでないとボリューム拡張が行えないなど、対応に手間が掛かる場面が結構ありました。しかしアイシロンを導入してからは、こうしたことを全く意識せずにデータを溜め込んでいけます」と小宮氏は語る。
Xシリーズ最大の特長であるパフォーマンスの高さも絶大な威力を発揮。小宮氏は「以前のWindowsファイルサーバーでは、データ転送速度はせいぜい120Mbps程度。それがX200を導入したところ、ギガビット・イーサネットで構築している社内LANの帯域を、ほとんどフルで使い切れるようになりました」と語る。
このことは、同社の業務効率化にも大きく貢献している。容量1GB程度のDVD用動画データであれば、わずか10秒以下で転送が可能。25GBに達するブルーレイディスク用のデータであっても、ほんの数分で転送が完了するという。特に後者については、これまで1時間以上の時間が掛かっていただけに、約1/10の大幅な時間短縮が実現している。「音楽や動画などのコンテンツを日常的に取り扱う業種ですから、大容量データを快適に活用できるというのは非常に大きなメリットです。放送・映像業界での導入実績も豊富なアイシロンを選んで正解でした」と市川氏は満足げに語る。
旧システムからの移行もスムーズに進んだとのこと。小宮氏は「アイシロンはActiveDirectory環境との親和性も高く、これまで行っていたセキュリティやアクセス制限などの権限設定もそのまま継承できました。製品としてはコンテンツ配信などの用途で活用されることが多いと思うのですが、今回のようなWindowsファイルサーバーのリプレース用としても最適な製品という印象ですね」と語る。
以前の環境では、256byteというWindowsのファイルパス制限を回避するような策も用いられていたが、アイシロンの導入を機にこうしたイレギュラーな運用も改めたとのことだ。
アイシロンを導入したことで、そもそもの懸案であった信頼性・可用性の問題も完全に解消。本番稼動開始以来、ノートラブルで運用を継続している。「実際に製品を触ってみても、至るところに品質の高さが感じられますね。おかげでストレージに対する安心感は格段に向上しました。今後はネットワーク側の冗長化なども行って、さらなる信頼性・可用性の向上を目指したい」と小宮氏は語る。
ちなみに同社では、柔軟なスナップショット機能を提供する「SnapshotIQ™」や監視・分析ツール「InsightIQ™」、クォータ管理ツール「SmartQuotas™」などのアイシロン製アプリケーション ソフトも積極的に活用している。「たとえばSnapshotIQであれば、お客様から預かったデータのバックアップや誤消去したデータの復旧といった具合ですね。様々なニーズに対応できる機能が提供されているのは非常に便利」と小宮氏は語る。
アイシロンの導入効果を高く評価した同社では、適用領域の拡大も積極的に推進していく考えだ。市川氏は今後の抱負を「社内では他にも様々なストレージが稼働していますので、今後はこうしたものをアイシロンで順次統合したいと考えています。変化の激しい映像・放送業界に身を置く我々にとっては、新技術の活用も重要な使命。アイシロンの導入を一つのきっかけとして、ITインフラのさらなる最適化を追求していきたい」と語った。
今回のプロジェクトを支援したブロードバンドタワーへの期待も高い。「導入時にはストレージ周辺のシステムも含め、かなり突っ込んだ部分まで相談させていただきましたが、非常にレスポンス良く対応してもらいました。ブロードバンドタワーはEMCアイシロンの導入実績が非常に多いこともあり、技術サポートのレベルが非常に高いと感じました。今後のストレージ導入の際にも是非、色々と相談させていただきたいです」と小宮氏は語った。
企 業 名 | 株式会社スペースシャワーネットワーク http://www.spaceshower.net/ |
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創 業 | 1996年12月 |
所 在 地 | 東京都港区六本木3-16-35 イースト六本木ビル |
事業内容 | 番組コンテンツの企画・制作・放送、広告販売、 各種イベントの企画・制作、Web・Mobileサイトの運営等 |